ブロック積みの家
フィリピンの一般的な住宅は、ブロック積みであることが多いです。日本の住宅とは全く違う構造になっているので、最初見た時は驚きましたが、これが一般的なのでいまは慣れました。
専門的にいえば、組積造という言い方をします。組積造自体は珍しいものではないのですが、住宅に使われているのを見ると、日本の木造とは全く違った構造なので結構驚きます。
もちろん、フィリピンでもブロック積みではない家もたくさんありますが、今回はブロック積みの家がどうやって出来るのか、お見せします。
※ご紹介している現場は弊社の施工現場ではありません。
ブロックを現場で作って積んでいく
特別なブロックではなく、日本でよく見るコンクリートブロックです。
車庫や庭の壁に使われたりすることが多いですね。

コンクリートブロック
このコンクリートブロックを外壁と内壁として使います。つまり、家の壁はこのコンクリートブロックだけです。
日本では、木材を組んで、断熱材を施工して、最終的に外壁材と内壁材(クロスなど)で仕上げをするのが一般的ですが、フィリピンではこのコンクリートブロックの壁だけなのです。
実際に施工現場を見てみましょう。

外から見たブロック積み構造

内側から見たブロック積み構造
どうでしょうか?結構驚きの光景ではないでしょうか?
さらに驚くのが、このコンクリートブロック、現場で作っています。
買ってくるのではなく、その場で作っているのです。

コンクリートブロック製作1

コンクリートブロック製作2

コンクリートブロック製作道具
この様な感じで、現場でコンクリートブロックを作って、積んでいきます。
フィリピンにはホームセンターなども無く、建築資材というものがほとんどありません。
そのため、木材やブロックはこのようにハンドメイドでつくるのです。
ちなみに写真のスタッフは、一日中コンクリートブロックをつくる役割です。
私のところのスタッフではありませんが、これで生活をしているフィリピン人もたくさんいます。
実際の壁はどうなる?
コンクリートを積んだだけでは、さすがに見栄えが悪く、耐久性もかなり低いので、このブロック積みの壁にモルタルを塗り込んでいきます。
モルタル、というのは、セメント+砂+水で作られたもので、石やタイルなどを接着することもできますし、家の車庫や外階段の仕上げとして使われたりします。
灰色のツルっとした感じの見た目になっている駐車場とか階段に使われているのがモルタルです。

モルタル仕上げの階段
よく見かけると思いますが、これがモルタル。

モルタルでレンガを接着
モルタルは、石材同士を接着する用途でよく使われます。
コンクリートブロック同士を接着するのもモルタルです。
さて、このモルタルを使って、積み上げたブロックをまるごと塗っていきます。

モルタル仕上げ1

モルタル仕上げ2

モルタル塗り終わり
最終的にはこのようにきれいなモルタル塗りの壁が出来上がります。
あとは、好きな色を塗れば良いのです。建築の知識がない人からみれば、ごくごく普通の家に見えると思います。
屋根はどうやってつくる?
屋根はコンクリートブロックで、というわけにはいきませんので、流石に木材で組んでいきます。

屋根構造天井

屋根
いっけん、普通の屋根のように見えますが、通常の屋根構造というのは以下の様なものです。

屋根構造1
屋根の骨組みがあり、その上に野地板と呼ばれる大きな板(ベニヤの分厚い版)を敷き、その上にルーフィング(防水シート)を敷いて、屋根瓦などの屋根材を施工します。
もう一度屋根の画像を見てみましょう。

屋根施工画像
見たところ、野地板がないですね。骨組みに直接ルーフィング(防水シート)しているように見えます。この防水シートも日本で使われている、建築用の防水シートではなく、薄いウレタン製のように見受けられます。
これでは、雨漏りの心配がありますし、断熱もできていない状態です。
事実、フィリピン郊外では雨漏りが当たり前だと聞きます。
日本の感覚からすればとんでもないことではありますが、これが普通、というのがフィリピンで実感するところです。
完成するとこんな感じになります。

完成した屋根
最後の仕上げ
最終的には壁を好きな色に塗るか、もっと綺麗に白くすれば完成となります。

白く塗った壁
このように白く塗れば綺麗に見えますし、もちろん耐久性も上がります。

ほぼ完成
これでほぼ完成です。
工期はだいたい2ヶ月くらいです。内装などはほとんど何もしないため、構造的にはシンプルな構造です。
これをつくるための職人、というのは特別いるわけではなく、なんとなくこれが上手な人がいる、というレベルで、日本の感覚からすると日曜大工(DIY)の得意な人がたくさんいる、というイメージです。
実際に、その直し方や作り方が正しいかどうかは置いといて、皆自分で直そうとしますし、応急処置したまま使っている道具や、乗り物だらけです。なせばなる、というような感じです。
コンクリートブロックの家は耐久性はどうなのか
コンクリート積みの組積造は、寒さや雨には弱く、耐震強度も弱いです。そのため、日本でこれをやろうとするとまず無理です。作れますが、すぐ壊れます。
沖縄など暖かい地域では、組積造の建物も見られますが、実はコストも木造より高いのであまりいいことはありません。
地震の多い日本では、組積造はあまり向いていないのです。
ただ、フィリピンの場合、高温多湿という環境のため、木造では腐敗が心配です。
そのため、腐敗につよいコンクリートブロックが使われているのです。
また、日本ほど耐久性を高めた構造にはしませんので、コスト的にも見合うのです(ブロックもハンドメイドですし)
フィリピンでの家造りの難しさ
このサイトでもすでに何度もフィリピンでの家造りの障壁を書いていますが、このように作られる過程をみて、さらに難しさがわかるのではないでしょうか?
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まず、家全体のことを考えられる人を探さなくてはなりません。
さらに、電気や水道を出来る人を探さなくてはなりません。
コンクリートブロックを作れる人、屋根をかけられる人、それぞれ探さなくてはなりません。
日本の場合、工務店やハウスメーカーに頼めば、一括して手配してくれます。
フィリピンの場合は、なんとなくまとめている人はいますが、明確に工事業者としては存在しません。
まず、なんとなくまとめている人を探さなくてはならず、探し当てたところでその腕前がどうかがわからないないのです。
金銭的な相場もわからないので、騙されてしまうケースや、お金がなくなってしまうケースも多々ありますので、そうならないように、一度相談していただければと思います。
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